高速バスに乗ろう

同じタイムバケットの中で子品目と親品目を連続して加工すること、A製品や部品の生産計画に製造番号を与え、なおかつ、それらの間の引当関係を表現すること、B子品目の加工と親品目の加工を並行させ、生産リードタイムを短縮すること、Cあるタイムバケットの、ある製品の生産に使われる複数種類の部品の生産/調達活動を同期させることD製品の生産計画を平準化することによって、部品や材料の生産活動を平準化すること日本型生産システムでは「現場」、「現物」、「現実」を重視する現物を表現するために生産物に製造番号(いまでは英語でSと表現される)を与えるとか、「かんばん」と現物を対応させる発想はMRP-Uの世界観と相容れない。
日本型生産システムの長所を学んだアメリカの企業はMRP−Uを捨て、Sをベースにした同期生産計画パッケージ(APS)を採用しはじめている。 近頃日本でも話題になっているTOC(制約条件の理論)はそのような生産方式の一つである。
APSはERPパッケージの中核を抜本的に改革する新しい情報技術である。 業務改革とERPERPのベンダーの中には、「パッケージに合わせて業務を変える」ことを主張する会社がある。
彼らは言う「ERPには、先進メーカのベスト・プラクティスが反映しているのだから、ERPに合わせて業務を変えることでリエンジニアリングができる」SIベンダーといわれる導入コンサルタント(会社)の中にも、声高に、「ERPは情報システムのアウトソーシングというより、情報システムによる業務の改革である」と主張している人達がいる。 しかし、それを主張することでビジネス上の利益がある人の言い分は差し引いて考えたほうがいい。
これは例外なき事実だ。 売ろうとする人間は、弱点について語りたがらない。

すくなくとも、弱点を小さく言いたがる。 確かに、ERP導入に合わせて業務改革することがビジネス上の効果を上げることがある。
しかし、ERPが前提にしている。 業務構造が自社には合わないこともある。
当然である。 「パッケージに合わせて業務を変える」という考え方は、業務改革の定向進化説だ。
あらゆる会社が同じ方向へと業務を改革していくべきだと主張していることになるからである。 「人間がすべての動物の進化の究極の姿」だろうか?人間とは、脳が異常に進化した「本能が壊れた動物」にすぎない。
あらゆる烏は、より速く飛ぶように進化しているのだろうか?ダチョウは飛べない鳥である。 烏が速く飛べることを目的にしているとすれば、ダチョウは進化に取り残された烏なのだろうか?進化には特別な方向はないというべきである。
業務改革にも一つだけしか方向がないわけではない。 それぞれの企業は、それぞれの環境を持っているからだ。

あるいは、独自な環境を探して生きようとするのが企業なのだ。 したがって、同じ方向に向かって企業が進化しているわけではない。
業務改革の定向進化説は間違いである。 パッケージが前提にしている方向に自社が合う場合のみ、「パッケージに合わせて業務を変える」ことに意味がある。
ここでは、業務改革とは何なのかをもう一度考えることから始める。 その議論をふまえたうえで、ERPが業務改革に結びつく場合と結びつかない場合を分けるものは何なのかを明らかにしよう。
ビジネス・モデルの変革とは何か事業モデルの変革ビジネス・モデルの変革とは何か。 それは、まず「市場において、今までと違う事業活動をする」ことである。
なぜ、今までと同じ事業活動ではダメなのか。 それは、まず環境が変わるからである。
環境が変わらない場合でも競争相手が戦略を変えるからである。 同じ製品を同じ品質で同じコストでつくればいいのならば、今まで同じ仕方で仕事をしていてもいいかもしれない。
新製品を導入する顧客セグメンテーションを変える新セグメント、新市場に参入するこれらの活動の継続は企業活動の宿命である。 企業は「事業活動を変え続け」なければならない。

ここでは、これを、「事業モデル」の変革と呼ぼう。 事業モデルとは、「誰に何をどういう魅力づけをして誰と競争してどうやって売るのか」というモデルをいう。
たとえば、ある古本屋は、「神田古本屋街に立地して、本好きの人達を顧客にして財産としての本を、古本屋同士で競争して合理的価格で購入・販売する」という事業モデルに基づいて事業を行っていた。 この古本屋が「住宅街に立地して、主婦・若者を顧客にして文庫や漫画などの読み捨て的本を新刊書店と競争して明確な低価格で購入・販売する」ことを決定したとする。
これが、事業モデルの変革である。 プロセス・モデルの変革このように事業モデルが変わると「今までと違う仕事のすすめ方」をせざるを得なくなる。
これを「プロセス・モデル」の変革という。 ビジネスをするための具体的な作業の内容と手順が、プロセス・モデルの中身である。
上記の古本屋は事業モデルを変えると、見積りや棚陳列の作業方法を変えざるを得なくなる。 実は、プロセス・モデルの変革は、事業モデルの変革がなくても必要である。
より品質を向上させ、よりコストを下げる努力が不断に求められるからだ一時流行したBPRは、事業モデルの変革ではなく、このプロセス・モデルの根本的変革を意味していた。 プロセス・モデルの変革は、不合理となった活動を省略することでまず可能になる。
たとえば、決裁の「はんこ」を減らすとか、本社決裁を現場決裁に変えるというようなことがこれである。 また、プロセス・モデルの変革は、新しい技術の採用によっても可能となる。
たとえば、電子メールがあれば、営業と工場の連絡の手順は変わるだろう。 在庫のオンライン問合せができるようになれば、お客さんへの対応方法は変わるだろう(事業モデルとプロセス・モデルの区別は、Xによる区分を発展させたものである。
)プロセス・モデルの変革が結果として事業モデルの変化に結びつくこともある。 特に顧客への対応方法の変化は、新しい差別化となり、顧客層を変えることがある。
たとえば、今まで標準納期が1週間だった会社が即日納入ができる会社になったとしよう。 これによって、今までは、この会社のビジネスの対象ではなかった試作品用部品がビジネスの大きな利益源泉になりうるかもしれない。
また、プロセス・モデルの変化がコスト競争力を変え、それがより攻撃的な戦略(事業モデル)に結びつくこともあろう。 日本企業は、Kによって徐々にプロセス・モデルを変革し、結果として品質とコストの優位を同時追求する。

戦略ポジションをつくってきたアメリカ発のBPRは、その日本企業に対抗するための、ドラスチックなプロセス・モデル変革の試みであった。 プロセス・モデルの変革は、自分から進んでではなく、顧客や供給業者に迫られて行われることもある。
たとえば、有力な取引先が電子データで発注情報を伝えたいと言ってきたらどうするか。受け入れざるを得ないだろう。

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